16年間で学べなかったこと
「食コーチング」プログラムス主催、
食コーチングスキルアップセミナー、
「文章による食事相談をスキルアップする--
ヘルスサポートと文章表現」(20日)が終わった。
遠距離クラスは3か月に1回、
ブラッシュアップセミナーは食コーチング研修を
修了した人対象の3回シリーズ。
遠くからの出張となる人が多いので、
1度に集中的に勉強をしよう、という方針で
2日間の集中講義となる。
2日間、立ちっぱなしの講義はそれなりに疲れるが、
受講者は、これに往復の旅が入るのだから、
私の疲れなど、たいしたものではない。
若さというのはものスゴいもので、
〝ついでに〟メイクに行ったり、アロマセラピーに行ったり、
着るものやバッグなどを買ったり……と、
秒単位のフットワークとなる。
全身を磨くとは、こういうことをいうのだろう。
かつて(現在も?)、栄養士養成校で
「話し方や文章を学べ」「身だしなみを整えろ」などという
先生や先輩はほとんどいなかった。
10人が10人、「専門知識を身につけろ」「医学知識を身につけよ」だった。
「基本をしっかり」ということだろう。
しかしこのアドバイスは、ごもっとも過ぎてアイディアには欠ける。
こういう指導を受けた人の中には、
病院栄養士こそが栄養士の最高位のように受け取る人も少なくなかった。
一見、気のきいたアドバイスのように見えるが、
それぞれのタイプに合った進路があることには無頓着。
100年1日のごとき、マンネリ助言以外の何物でもない。
スポーツ選手に「専門技術を磨け」、自衛隊員に「武器の扱いに慣れろ」
とだけしかいわない言わない先輩や上官は、とても尊敬を得られないだろう。
アメリカ滞在2年の友人に
「英語での日常会話くらいなら困らなくなっただろう」といったら、
強い調子で反論された。
仕事をしに行ったのだから、ビジネス英語には困らなくなったが、
日常会話はあらゆる方向からボールが飛んでくるので、
2年くらいでは、とても「どうにかなる」なんては言えない。
「トレンディドラマの話題になんか、まったくついてはいけませんよ」
そうだと思う。「専門」は、その現場、現場で覚えられる。
覚えるしかない。名三塁手も、一塁手にコンバートされたら、
そこで新しい局面に適応するしかない。
しかしそれくらいは、たいていの人にできる。
現場、現場に、新人を鍛えるシステムができている。
しかし、話し方や文章力、思考力、笑顔や身だしなみは、
一朝一夕には身につかない。
高校、大学では充分な時間がとれなかったとすれば、
いま、それをやるしかない。
人生100年を、6、3、3、4の16年間の基礎勉強だけで
乗り切ろうなんて、ちょっと人生を甘く見すぎている。
遠距離クラスのランチタイムで、だれかが言っていた。
「パルマローザに入ると雰囲気が変わる人(輝きが増す人)が多いけれど、
いちばん変化が大きいのは病院勤務の栄養士かもしれない」と。
さらっと聞き流したが、なにか深い意味が隠れているような気がする。
念のために言っておくが、社会はみんなで支えるチームだから、
だれが偉くて、だれが偉くない、なんていってはいけない。
二塁手と三塁手とどちらが偉いか、などという議論は無意味だ。
どうしても、なにかを論じたければ、
「努力を続ける人は頼もしいか、涙ぐましいか、美しいか、
当然の責務か、上昇を続ける人か」
なんていうことではいかが?
by rocky-road | 2009-07-24 22:52