そぼ降る雨にもラッキーチャンス

そぼ降る雨にもラッキーチャンス_b0141773_22162884.jpg
                   東京銀座松屋のディスプレー(08年) 
水中カメラマンの中村征夫氏が
NHKテレビ「プロフェッショナル」に登場した(6月16日)。
佐渡の海藻や東京湾周辺でコウイカの交接シーン(交尾のこと)の
撮影の様子を追いかけるという設定らしかったが、
冬の企画立案であったせいか、
撮影は早春、海がいちばん濁っているときの取材となった。

そぼ降る雨にもラッキーチャンス_b0141773_22192063.jpg
                         中木の全景
『栄養と料理』時代にも経験したことだが、
6月号の表紙の写真は、2月3月に撮ることになるので、
旬の食材を入手できず、いつも不満が残った。
1年前に用意しておけばいい、とはもちろん思うが、
1年先は、どんなコンセプトにするかが決まっていないので、
そこまで手が回らないのである。
編集長にしろテレビプロデューサーにしろ、
1年先の自分のポジションだって、保証されているわけではない。
そぼ降る雨にもラッキーチャンス_b0141773_22225256.jpg
          以前、中木に行ったときの中村征夫さん↑↓ 左から2人め
それは承知していても、中村さんを佐渡の水中まで追いかけた取材スタッフが、
濁った海の海藻しか撮っていないのを見て、
中木だったら、あんな中途半端な海藻ではない、と残念に思った。
中木は、伊豆半島の先端近くにある静かな漁村である。
この海には40年間通っている。
中村さんとも潜ったし、ここで撮った写真は水中写真コンテストで
グランプリやその他の賞を何回か取っている。
そぼ降る雨にもラッキーチャンス_b0141773_2225030.jpg
伊豆あたりの梅雨時の水中は、
雨が降っていても水中はしっとりとしていて、
竹林にいるような風情である。
そぼ降る雨にもラッキーチャンス_b0141773_22303293.jpg
                        中村流カメラの構え方
そういえば、世界初の水中句会をやったのも
6月伊豆の海だった。
水中に垂らしてあるマイクに向けて、
水中の景観を五・七・五で詠むのである。
水中で発声するにはコツがいるが、
録音しておいた句をあとで聞くと、名句は、はっきりと聞き取れた。
そのテープが果たして残っているのか、
これを企画した工藤昌男さんに、いつか聞いてみたい。
そぼ降る雨にもラッキーチャンス_b0141773_22322339.jpg
         中木で撮影した写真  フォトコン、グランプリ「イワシの春」(類似カット)
雨だから海行きは取りやめる、雨だから外出は控える、
というライフスタイルをとってこなかった。
20世紀~21世紀の人間が、雨ごときで行動を変更するとは
なんたる消極性!!!
そんな根性では人生の彩りは1色どころか何色も欠けてしまう。
そう人にも自分にも言ってきた。
そぼ降る雨にもラッキーチャンス_b0141773_22341036.jpg
                NHKにアドバイスしたかった海藻が美しい中木
雨でめげないためには、少なくとも雨具のバリエーションを充実させることである。
傘、ウエア、パンツ、靴、バッグ、人によっては防水カメラ。
何十年に1回の日食もうれしいが、
雨という自然現象も、刺激を求める人間には
豊富な情報をもたらしてくれるはずである。

by rocky-road | 2009-06-24 22:29  

<< 写真表現力も人生の脚力強化に!!! 合宿コミュニケーションの意味 >>