そぼ降る雨にもラッキーチャンス
水中カメラマンの中村征夫氏が
NHKテレビ「プロフェッショナル」に登場した(6月16日)。
佐渡の海藻や東京湾周辺でコウイカの交接シーン(交尾のこと)の
撮影の様子を追いかけるという設定らしかったが、
冬の企画立案であったせいか、
撮影は早春、海がいちばん濁っているときの取材となった。
『栄養と料理』時代にも経験したことだが、
6月号の表紙の写真は、2月3月に撮ることになるので、
旬の食材を入手できず、いつも不満が残った。
1年前に用意しておけばいい、とはもちろん思うが、
1年先は、どんなコンセプトにするかが決まっていないので、
そこまで手が回らないのである。
編集長にしろテレビプロデューサーにしろ、
1年先の自分のポジションだって、保証されているわけではない。
それは承知していても、中村さんを佐渡の水中まで追いかけた取材スタッフが、
濁った海の海藻しか撮っていないのを見て、
中木だったら、あんな中途半端な海藻ではない、と残念に思った。
中木は、伊豆半島の先端近くにある静かな漁村である。
この海には40年間通っている。
中村さんとも潜ったし、ここで撮った写真は水中写真コンテストで
グランプリやその他の賞を何回か取っている。
雨が降っていても水中はしっとりとしていて、
竹林にいるような風情である。
そういえば、世界初の水中句会をやったのも
6月伊豆の海だった。
水中に垂らしてあるマイクに向けて、
水中の景観を五・七・五で詠むのである。
水中で発声するにはコツがいるが、
録音しておいた句をあとで聞くと、名句は、はっきりと聞き取れた。
そのテープが果たして残っているのか、
これを企画した工藤昌男さんに、いつか聞いてみたい。
雨だから海行きは取りやめる、雨だから外出は控える、
というライフスタイルをとってこなかった。
20世紀~21世紀の人間が、雨ごときで行動を変更するとは
なんたる消極性!!!
そんな根性では人生の彩りは1色どころか何色も欠けてしまう。
そう人にも自分にも言ってきた。
雨でめげないためには、少なくとも雨具のバリエーションを充実させることである。
傘、ウエア、パンツ、靴、バッグ、人によっては防水カメラ。
何十年に1回の日食もうれしいが、
雨という自然現象も、刺激を求める人間には
豊富な情報をもたらしてくれるはずである。
by rocky-road | 2009-06-24 22:29