パルマローザ・フォトコンテスト 応募作品選評。
恒例のパルマローザ主催の写真教室(32回)を
開催しました。(2025年4月29日 あしかがフラワーパーク)

そこで撮った写真を、
フォトコンテストに応募していただきました。
(5月10日締め切り。作品は「スタンバイ・スマイル」に掲載中)
https://palmarosa.exblog.jp/

日本のフォトコンテスト(以下、フォトコン)の世界では、
作品の評価順位を、
上から、「金」「銀」「銅」の順で表わします。
この3賞から外れた作品は「佳作」とします。
主催者によっては「選外」とする場合もあります。

フィルム写真が主流であった時代には、
写真も創作性、芸術性の高い美術として、
それなりにリスペクトされる趣味であり、
それを職業とする人も少なからず存在しました。

その当時は、「写真教室」や「撮影会」が各地で行なわれ、
すぐに満員になるほどに盛況でした。
とくに人気があったのは「モデル撮影会」や「ヌード撮影会」。
数人のプロモデルを囲んで
大半の男性カメラマンが熱っぽくシャッターを切り続けました。

その熱気と緊張感はハンパでなく、
うっかりカメラマンエリアから半歩でも出たりすると、
「そこ、どけ!!」「何やってんだよ」「バカやろう」などと
怒号の砲火を浴びました。

ハイアマチュアがほとんどなので、
カメラの操作やフォトテクニックのレクチャーはゼロ。
それでも、アマチュア対象の「写真教室」が
公園や動物園など公共の場で開かれました。
そんなときは、講師と数人のアシスタントと移動撮影。
途中で、いろいろとアドバイスが受けられました。

参加者は、講師が撮った位置から、
同じように撮ることを促されていました。
まったくの初心者の場合は、それも「あり」でしょう。
バルマローザでも、
最初はそういう方法をとったこともありますが、
写真は、被写体を見つけるところから始まるので、
そういう、独創性の育ちにくい方法はやめました。

さて、今回は、広いパークの中を、
勝手に歩き回るスタイルであったため、
いくらか被写体にバラエティが出たように思います。
なにを撮ったかわからない人には、
ちょっと冷たかったかも。

写真教室に限らず、講演でも、演劇でも、
勉強会でも、原則は、講師に少しでも近いところにつくこと。

私は、インストラクターのつくダイビングツアーでは、
陸上でも水中でも、
インストラクターの間近の視界に入るポジションを
キープします。

情報は1ミリでも近いほうが、情報の質と量が豊富だから。
ダイビングの場合は、なによりも安全性が高まります。

今回のフォトコン。
久々に「銀賞」「銅賞」作品がありました。
「素人だから」「栄養士だから」と
甘やかすことなく、一定の選考基準は守りたいと思います。
そして、タイトルの適否についてコメントとしました。
ただし、タイトルは応募作品の評価基準にはしていません
(キャッチコピーのコンテストではないのだから)

応募作品選考結果
「銀賞」
影山なお子さん
「ジャストシーズン」

【選評】
藤の花が売りの公園だからといって、
花の撮影に終始する必要はない。
花を入れての同行者をモデル撮影。まさに一石二鳥。
臨場感も、モデルの表情も、
光の効果(レフ/反射板使用)で、プロ級の仕上がり。
「銅賞」
岩田博美さん
「白藤観覧中 ♬」

【選評】
アリウム(花)が、白藤を「鑑賞」している
という意味だろうか。だとすると、「観覧」はどうかな?
アップの花と背景の白藤、撮影意図は、はっきりとわかる。
構図で勝負。写真の表現力とはこうありたい。
「佳作」
甲斐和恵さん
「何が見える?」

【選評】
撮影中の人をユニークなアングルで撮った。
仲間でないと、なかなかこの角度は狙えない。
パークらしさもバッチリ。
「何が見える?」はどうか。「私のアングル」では?
「佳作」
佐藤由起子さん
「藤girl お出迎え」

【選評】
白藤の輪郭がおもしろい。
なぜか鶏の横向きの姿にも見える。
青空の色が藤のカタチを引き立たせていて見事。
タイトルは、作者のつぶやきの範囲。
鑑賞者の共感を得るようなネーミングを。
「佳作」
奥村花子さん
「共演」

【選評】
しっかり構図を考えた折り目正しい作品。
人も多く、そうとうににぎやかな園内だったが、
その一部を申し分なく切り取って作画をした。
上位を狙うには、多少のアクセントが必要。
タイトルは納得できる。「花組共演」とすると、
〝おすまし感〟が幾分和らぐか。
「佳作」
みなき まゆみさん
「花日共演inあしかがフラワーパーク」

【選評】
花(アリウム)をロウアングルで撮った意欲作。
この花は、この角度、この距離で撮ると、
かならずしも可愛くない姿になることがわかる。
ユニークなアングルを試すなら、
左下から突き出している葉はカットしたいし、
背景の白藤の下の部分の暗部も除きたい。
タイトルは意味がわからないし、長すぎる。
その他の応募作品
永野幸枝さん
「足利沖藤浪頭(あしかがおきふじなみがしら)」

【選評】
狙いはよいが、佐藤作品と比べると、やや劣勢。
もう〝ひとひねり〟がほしい作画。
適正露出がむずかしいアングルを選んでしまった。
メインの部分がアンタ―気味で、
画角の端のほうに明るさが出ている。
タイトルも人形浄瑠璃の題のようでわかりにくい。
奥村春弥さん
「ハッピーバースディ!!」

【選評】
この日が誕生日だったのだろうか、
「おめでとう!」
でも、撮影意図が不明。
お母さんの「共演」と比べてみれば、
写真とは、世界の一部を自分好みに
切り取る技能だ、ということがわかるだろう。
三奈木博文さん
「藤の橋をわたる」

【選評】
たくさん撮った中から、
この写真を選んだ意図が不明。
白藤と橋の上のにぎわいが露出不足で真っ暗。
露出調整の方法がわかっている人が、
なぜこんなふうに撮るのか。
「こんな写真を撮ってはダメだよ」という警告の意味で
あえて出品したのかもしれない。ありがとう。
# by rocky-road | 2025-05-14 22:53 | 写真教室