人間研究家 ヘルスサポーター

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パルマローザのセミナーで、
「ヘルスサポーターが理解しておきたい
ストレスとモチベーション」という演題で
話をさせていただいた。

ヘルスサポーターに、なぜそんな話が必要なのか。
それはいうまでもなく、
人間、いや動物の存在は、モチベーションとストレスなしでは
説明しきれないからである。
ストレスの学会はいくつもあるから、
そういう話は専門家に任せておきたいが、
「ストレス&モチベーション学会」というのはなさそうだし、
仮にあったとしても、専門家は、その学問を
生活の中でどのように活用するかを説くのがヘタだから、
いわば翻訳家が代わってやるしかない。

ストレスとモチベーションはセットである。
過労死するような人は、
仕事に強いモチベーションを感じている。
が、ストレスも相当にたまる。
モチベーションが強いと、それによるストレスを感じない。
ここに危険がある。
モチベーションは、かならずしもプラスに働くとは限らない。
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講演では、「よいストレス 悪いストレス」という分類は誤りだと言った。
が、モチベーションのほうは、強弱だけでなく、適否もある。
宅配便を語って人の家に侵入するのは
社会にとってマイナスのモチベーションである。
自分自身を破滅させるモチベーションでは困るが、
それもまたモチベーションではある。

仕事への高いモチベーションそれ自体は悪くはない。
問題なのは、モチベーションに多様性がないこと。
大小・強弱・長短・物質性・精神性……
いろいろのモチベーションに動かされている人は、
ストレス病へのリスクを軽減できる可能性がある。
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食事相談だからといって、栄養素や食卓の上の話に
終始しているのは、もはや古典的手法。
人の人生、人のモチベーション、
人のストレス、人の幸福感などを
考えたことがない者が、「患者さんの行動変容を……」
などと口走るとは、恥ずかしい。
さらに、そういう青臭いスキルを
組織的に教えている者があるとすれば、
それはガマの油売りほどにいかがわしい。
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# by rocky-road | 2008-12-03 00:48  

立ち食い文化よ 「アニョハセヨ」

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ソウル、2泊3日の旅を楽しんできた。
といっても、ミョンドン(明洞)、インサドン(仁寺洞)、
トンデムン(東大門)などの繁華街と、
チャンドックン(昌徳宮)という名所旧跡を
ちらと見た程度。

印象に残ったのは、屋台で立ち食いをする若い女性が多かったこと。
屋台が出ているどの通りでも、立ち食いの主役は若い女性。
なぜか頼もしい気分になってレンズを向けていたら、
結果として、女性の立ち食いシーン調査の旅みたいになった。

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時間的には夕方の4時くらいから夜更けまで。
そういえば、博多にも似たような風景があった。
あれは夕食なのか間食なのか、
ときには夜食なのか。
見ていると、食べているのは、四群点数法でいう
第二群(動物性食品ほか)か第四群(穀物)のようである。
しかし、彼女たちの体型にさしたる問題はない。

準備のない旅だったので、帰ってから、
韓国の食生活事情を知りたくなった。
統計的には、韓国国民の1日の野菜摂取量は
世界一の約700グラム。
しかし、その原因はあの屋台にはない、
少なくとも私が見た範囲では、
野菜中心の立ち食いではなかった。
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ところがきょう、新聞には、韓国の「保健福祉家族省」が
肥満の原因になるような食品……エネルギーの高い菓子やカップめん、
ハンバーガー、炭酸飲料などのテレビコマーシャルや
学校周辺での販売を禁止することを検討している
という記事が載っていた。
当然、食品会社が反対するだろうから、
決定するにしても、それまでには時間がかかりそうだ。

その結果はともかく、
行政機関が、こういう発案をすることに興味がある。
数千、数万とある食品の中から、〝肥満原因食品〟と、
そうでない食品をどうやって分別するというのか。
それはそれとしても、国家がそこまで責任を感じる姿は
美しくも涙ぐましく、そしてちょっと怖い。

食育基本法は日本の発案だが、
韓国流にやるなら、1日1回、
一家団らんを実行しない家庭は告発する、
車中でカップラーメンを食べたり化粧をしたヤツは逮捕する、
とでもやるか。

国民の健康管理を教育や情報でではなく、
実際行動による介入で行なう場合、
その程度を決めるのはきわめてむずかしい。

たとえば、食育基本法の精神を貫くために、
栄養士を動員して家庭単位に「指導」でも始めたら、
栄養士は市民の敵になりかねない。
現在の「行動変容」のかざし方を見ていると、
「○○○○に刃物」ほどに怖いことになるだろう。

何かというとわが国の食糧自給率の低さを嘆く人がいるが、
b0141773_0464678.jpgずっと嘆き節を唸っていてほしい。
文化大革命みたいに、
「若者よ、農場へ」なんてことになったら、それは職業選択の自由を奪うことになる。

ソウルの屋台で立ち食いをするレディよ、あなたたちは、だれがなんと言っても美しいし、チャーミングである。
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# by rocky-road | 2008-11-22 00:38  

「現代はストレスの時代」だなんて!!!

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以前、著名な精神科医のストレス入門のような本を読んでいたら、
序文に「最近は素人がストレス論をやるので困る」とあり、
本文の中でも、「現代は人間関係が複雑になり、
またコンピュータの普及したことによって、
だれもがストレスをかかえるようになった」と述べていた。
即座に「ホントかね?」と疑った。

カエサル(シーザー 紀元前100年)は、
腹心の部下、ブルータス(ブルトゥス)の一派に
暗殺されたとき「ブルータス、お前もか!」と叫んだという。
織田信長は配下の明智光秀に討たれた。
ストレスは大昔からあった。死を伴うものも多かった。
「地震、雷、火事、おやじ」そして、台風、津波、
飢饉、戦(いくさ)などがあった。

b0141773_23215186.jpgなかったのは、「ストレス」というコトバだった。
ハンス・セリエが「ストレス学説」
(論文名「各種有害作因によって惹起された症候群」)を
発表したのは1936年7月4日というから、
言語的には、それ以前には「ストレス」はなかった。
私は、東京大空襲を小学校3年生で体験したが、
確かにそのころは「きのうの空襲のストレスはひどかった」
などという大人は1人もいなかった。
まだ日本には、「ストレス」はなかった。

しかし、今日いうところのストレス的なものは、
人類が始まる以前から、強烈なものがあった。

ストレス学説は、人体の生理反応の考察だから、
その反応を知っていようが、知っていなかろうが、
もともと動物には起こりうる現象なのである。

現代だけがストレスの時代のようにいうのは、
専門家を鼻にかけた人間の、視野狭窄からくる誤解である。
それじゃぁいうが、そもそも精神科医はストレスの専門家なのかね。
あの文庫版の入門書を読んで以来、
ストレス論もまた、専門家に任せておけばいい、
というものではないことを、再認識した。

b0141773_23223251.jpg以来、ストレスについて小論を書いたり論じたりしてきた。
人間の行動傾向を知る手かがりの1つは、その人のモチベーションやストレス因に着眼することでもある。
食事相談を担当する人が、
人のモチベーションやストレスを洞察することは、
「問いかけストーリー」をつくっていくうえで、
欠かせない手法の1つであろう。

モチベーションとストレスは、
1セットの研究ではないが、
あえて、この2つを同時に論じてみたらどうなるか、
かねがね論じてみたいと、思っていた。
素人なりのアイディアもある。
今度、パルマローザから機会をいただいたので、
ヘルスサポーター向けのバージョンでご披露してみたい。

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パルマローザ栄養士ブラッシュアップセミナーからのご案内
 ■日にち  2008年11月30日(日)     
 ■時間  10時30分~17時30分
 ■場所  横浜崎陽軒会議室2号室
 ■研修費 1万円(昼食代含む)

 ■人数:35名

  第215回栄養士ブラッシュアップセミナー、
  「クライアントのモチベーションとストレスをどう把握するか」
  大橋禄郎先生のセミナーにご参加ご希望の方は、
  palmarosa@yours.biglobe.ne.jp
   パルマローザ栄養士ブラッシュアップセミナーまで、
  おなまえ、ご連絡先(お電話も)、ご所属名を明記のうえ
  ご連絡ください。
  お振込み口座、場所などのご案内を個別にご返信させていただきます。 
  みなさまのご参加お待ちしております。  
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# by rocky-road | 2008-11-13 23:23  

壮にして学べば、即ち老いて衰えず。

b0141773_0464151.jpg旧知の栄養士さんからハガキが届いた。
永年勤めた私立大学の健康管理室を
定年退職をしたという近況である。

彼女は、ご自分が属する大学の学生の食生態を、30年以上調査し続け、それを冊子にして関係機関に配布してきた。私の『栄養と料理』時代には、その一部を誌上で紹介した。その調査によると、大学1年生のころは、外食の機会も少なく、喫煙や飲酒の習慣も当然ながらごくわずか。
しかし、学年があがるにつれて、
男女とも、右肩あがりに夕食の外食が増え、
朝食さえ家でとらない人が現れ始め、
コンビニの利用率が増え、就床時刻も起床時刻も不安定になる。

学生時代の4年間は、人生の中では短い期間だが、
このときに、大人になることとは、生活習慣がラフになることだと
刷り込まれてしまうと、生活リズムの狂いにも気づかなくなり、
健康度の低い人生を歩くことになる、
そんな予兆を早ばやと示してくれた研究だった。

栄養士として、どんな業績を残すかを
考えながら仕事をしている人は少ないだろうが、
60歳くらいから先の状態をイメージしておくことは意味がある。
職場のある人は、その職場にいたからこそ続けられることがあるだろうし、
フリーや開業して活動している人は、
その利点を生かすことを考えるだろう。
あるいは、いずれも、まったく違う道へ転進するケースも珍しくはない。
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今から20~40年前、
「クッキングスタジオ」を開設し、「フードドクター」を名乗った人、
食事サロンやマスメディアでの仕事を中心にする会社を興し、
「ヘルスプランニング」とネーミングした人、
ダイエットなどを支援する会社を設立し、「カロニック」と命名した人、
料理雑誌や書籍の栄養計算を一手に引き受ける仕事を始めるとき、
「メニューデータ プレゼンテーション」と名乗った人など、
どんな時代にも、自分の道を見つけ、歩き続ける人はいる。

そうした人のお1人、東畑朝子先生(フードドクター)には、
来年の1月10日、パルマローザ・ブラッシュアップセミナーで
お話しいただくことになったので、
もっとも先駆的なパイオニアの、力強いライフスタイルの一端に
接することができるだろう。

b0141773_0522292.jpg志のある人には、順風も逆風もない。
あるのは「わたくし風」だけである。

幕末に活躍した朱子・陽明学者、佐藤一齋は、
自著『言志四録』(げんししろく)にこう書いた。

少にして学べば、即ち壮にして為すことあり。
壮にして学べば、即ち老いて衰えず。
老いて学べば、即ち死して朽ちず。

(渡部昇一著 『ものを考える人 考えない人』 
三笠書房による)

いずれにしろ、大人である自分の動機づけは、
自分が主体となってするしかない。
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# by rocky-road | 2008-11-10 00:49  

写真選びのシーズン

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11月は、自作写真の振り返りの季節である。
10月から3月くらいまで、いくつかのフォトコンテストの
応募締め切りが続くし、年賀状に使う写真選びもある。
また、長年、クリスマスにお届けしている
新年度のフォトカレンダーに使う写真選びもある。

今年は、年賀状に使った写真が「よみうり写真大賞」に
入賞してしまった(!?)ため、
急遽、別バージョンを作る必要が生じた。
2つのフォトコンに、同一写真はもちろん、
類似カットを応募することは厳禁……というのは、
フォトコン歴40年としては常識中の常識。
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が、自分の年賀状とのバッティングもNGとは、
実は電話で確かめるまでは知らなかった。
私が知る限り、
過去のあらゆるフォトコンの応募規定には
そんな条項はなかったはずである。
しかし、主催者の立場に立って考えたとき、
たいへん愉快とはいえないケースなので、
念のために問い合わせてみた次第。
ちなみに、インターネットに使ったものは、
もちろん「未発表作品に限る」という応募規定に抵触する。

で、けっきょく、年賀状に使う写真と、
これから応募する作品とを何通りにか分ける必要に迫られている。
「ついでカメラマン」には、そんなに作品のストックがあるはずもないが、
だから悩み、その悩ましさが楽しみシーズンともなっている。
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ここまでは趣味の話として、
最後に年賀状の、きわめて私的な禁則例を3つほど。

1.肉筆が1字もない年賀状なら、出す必要はない。
  受取人としても、こういうものを2回もらった時点で
  その相手とは、年賀状のやり取りはやめる。
  パソコン活用、おおいに結構。
  でも、すべりがよく、インクの色ツヤのよい筆記具くらい、
  新年度用の箸と一緒に買おうよ。

2.家族や一族郎党の近況や抱負を
  相手かまわず伝えない。
  個人情報云々がはやりだが、
  伝えてもらいたくない個人情報もある。
  孫の花子が笑ったの、ネコを噛んだの、
  どうかひとつ、そういう話は、
  身内にとどめておいてほしい。

3.「ぜひ今年はお目にかかりましょう」などと、
  毎年同じフレーズを使わない。
  お互い、会う可能性がないなら、それも運命と思って、
  現実をきっぱり受け入れよう。
  人生は流転するのだ!!!
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# by rocky-road | 2008-11-02 01:49  

脳を鍛える栄養士へ

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日本栄養士会が主催するスキルアップ研修会で
栄養士の文章力についてお話しすることになった。
影山さんとのコラボレーションで、
「もっと輝くためのコミュニケーションスキル」という
1日コースを担当する。

食コーチングは、
コミュニケーション力を基本スキルとするが、
日本を代表する栄養士会でも、
コミュニケーション力アップを目指す研修会を
主催するようになった。
そのことの意味は大きい。

b0141773_0585148.jpgいままでは、郵便配達方式で、
受取人が不在であっても受け取る気がなくても、
栄養・健康情報を押し込んできた、
それが従来の「栄養指導」だった。
それを反省し、見直そうということは、
これまで先人たちが培ってきた業績を
ホンキで活用できる時代がきたことを意味する。

私が担当する演題は「栄養士に必要な文章力とは」である。
事務文書とか論文とかの書き方を期待する人も多かろうが、
今回はそこへは入り込まない。
「文章で考える」という、私のコンセプトをご説明することが
まずは必要と思うからである。

以前、このブログにも書いたが、
手帳は「脳の支店」であり、
文章は、脳内の情報を取り出す主要なメディアである。

このところ、「脳科学者」を名乗る者が
マスメディアによく登場するが、
こんな怪しい学者の話を聞いていては、
文章の意味はわからない。

人は、脳を研究する学者は頭がよいと錯覚する。
じぁあ、がんの研究者はがんにならないのか、
眼科の先生は視力が落ちないのか。
脳の研究も、ウオノメの研究も、
タコ焼きの研究も、研究という点では
さほどの変わりはない。
研究者の頭の善し悪しは、
研究テーマとはあまり関係ない。

ひとくちに「脳」といっても、いまは研究分野が
何十、何百と分化しつつある。
だから、怪しい脳学者に頭がよくなる方法を聞くのは、
肛門科の先生に、ノドの不具合を診てもらうほど
見当違いのことがある。

ま、それはそれとして、
理系と思われている栄養士が、
コミュニケーション力や表現力を学ぶようになったのは、
画期的である。栄養士の社会進出の速度が、
さらにアップすることは断言できる。
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おりしも、影山 なお子さんは、
新訳となった、スタンダールの『赤と黒』を
読み始めたという。(訳者 野崎 歓 、光文社古典新訳文庫)
遠からず、食事相談に、ジュリアン ソレル(同書の主人公)や
レナール夫人(ジュリアンの恋人)が
さらっと登場する可能性が出てきた。
これが食事相談の社会性でなくて、なんであろう。
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# by rocky-road | 2008-10-25 00:49  

若者と若者でない人の将来性

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非常勤講師で通っている大学の後期の講義が終わった。
「食コーディネート論」を数人の講師が担当する。
私は後期のトップバッターなので、
4回の講義と実習を終えて、早ばやとオフになった。

私の講義は、料理レシピや食関係の文章の評価の仕方、
インタビューの仕方、発想力・企画力のつけ方、
食ビジネスにおける情報発信の方法など。
どんな分野に就職しても役立つように配慮しているつもり。
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履歴書には、最終学歴として「大学」を書くことが多いが、
私は、大学は社会人の入門講座であると、
最初に学生に伝えている。
実際、大学生活にはアルバイトがあり、
社会人との交流もあって、
社会との接点が多いのが普通である。
「社会人としての第一歩」といえば、
少しは気合が入るかと思って、
そう言い続けてきたが、
さて、その効果は如何?

大学のカリキュラムは、社会の動きに対して、
どうしても遅れがちになる。
いま、社会ではどんな知識や技術、
考え方が必要とされているか、
そういうことを察知し、適応する力は、大学にはあまりない。
ただし、それゆえに、いかがわしい学説、
流行の珍説に惑わされないという利点もある。
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非常勤講師には、大学の外の動きが見えているので、
大学のカリキュラムの長短、強弱がよくわかる。
おまけに、当方は元編集者。
大学のカリキュラムは、雑誌や書籍の目次、
つまり企画、構成そのものに思える。
いま、どんなカリキュラムが求められているかを論ずる、
カリキュラム編成会議に編集者を出席させてくれたら、
専任教員の弱点を補って余りあるだろう。

もっとも、4年間の大学生活で知的生活の基礎ができる、
などと考えるほうが、ムシがよすぎるだろう。
私の持論では、「若者に将来がある」は誤り。
真実は、「努力を続ける若者、よほど運のよい若者にだけに
将来がある」ではないか。

若者ではない人には、こんなことがいえる。
「学び続ける人には、将来への可能性がある。
その意欲と思考力は、若さと美しさのベースにもなる」と……。
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# by rocky-road | 2008-10-23 16:07  

使命感の風船

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非常勤で出かける大学の学生に、
「将来、就きたい職業は?」と聞くと、
「食育」「商品開発」「フードコーディネーター」が
上位にあがってくる。
この傾向は20年近く、変わっていない。

一方、フードコーディネータースクールでは、
さすがに「フードコーディネーター」は少ないが、
「食育」や「商品開発」は上位にランクインする。
そう願う人の中には栄養士も少なくない。

若い食関係者に、これらの職業の人気が続くのは、
1つには、実像がはっきりしないために、
憧れが先行し、いつまでも中空にさまようためだろう。

栄養士の世界では、「開業栄養士」というのも
これに近いところがある。
栄養士を読者とする雑誌が、
「開業特集」を企画するのは当然である。

トレンドにしろ、流行にしろ、
それらはイメージやコトバが先行するものである。
中空に漂う風船のようなところがある。
糸をつかまえれば自分のものになるが、
ほっておけば、風船は空へ。
つまりは一時の流行に終わる。
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「開業栄養士」との関連でいえば、
食事相談も、単独ではビジネスにならないと見切りをつける栄養士もいるという。
いや、公の場で、そう宣言したという。
そのあきらめの早さは江戸っ子的といおうか。
結論を急ぐのも才能の1つだが、
だから、マネジメントや語学力、
アメリカの栄養士の資格をとろう、
と人に説くようになると、
ミスリードを始める危険がある。

フードコーディネーター養成校の講師にも、
「ソロバンのはじけるフードコーディネーターになれ」と
強調する人がいた。至極まっとうな意見だが、
困るのは、本業よりも、ソロバンのほうにポイントがあると錯覚し、
自分の専門をおろそかにする学生が少なくないことである。

つまり、食ビジネスに関する自分の商品開発をしないで、
マネジメント力ばかりを磨くのは本末転倒。
それは、車の路上運転の練習をしないで、
車の掃除や、車庫への出し入れの練習ばかりを
するようなものである。

食育も、開業栄養士も、食事相談も、
現段階では、確かに不安定な風船である。
が、飛びかかっている風船の糸をつかまえる人はきっといる。
それは社会人としての経済的成功につながるとともに、
職業的使命の達成にもつながる。

手相や風水、トランプや星座など
いろいろの占いで仕事をしている人がいる。
寒風の吹きすさぶ、うす暗い街角で、
じっと人を待ち続けた先人たちの努力が、
今日をつくったということだろう。
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人生、いつも迂回ばかりしていてはダメだ。
真っ向勝負の度量と持続性、
それ以前にアイディアが問われる。
栄養士は、既存のものに乗っかることを
習性にしてはいけない。
パイオニアとしての意欲をかき立ててほしい
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# by rocky-road | 2008-10-18 01:35  

2009年、おめでとう。

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来年度の手帳を買ってきて、
さっそく記入を始めた。
ついでにカレンダーも、と思ったが、
11月にならないと、
現在使っている形式のものは入荷しないという。

ともあれ、手帳やカレンダーの中では、
2009年は始まっている。
文章・編集塾の遠距離クラスを開講したので、
いつもの年よりも早めに年度計画を立てる必要に迫られ、
2010年の1月までのスケジュールを設定した。
年に10回ほど、海に出かけていた時代にも、
再来年まで予定を入れることはあまりなかった。
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わが「予暇論」では、
元気や健康を維持・増進する要因の1つとして、
「あした、週末、来月、来年の予定があること」をあげる。
モチベーションの強化の1つとなるからである。

「手帳は、脳の支店だ」と、最近、いうことが多い。
脳の記憶がどういう記号で保存されているのか
まだ確かなことはわかっていないと思うが、
その記憶の1つは、言語記号以前の記号、
いわば「未熟の言語記号」が、青い果実のように、
細胞の枝にぶら下がっているのか、くっつていいるのか、
そんなイメージでいいのだろう。

手帳は、その果実をとり出すカゴだ。
カゴを持っていると、果実をとるのにも気合が入る。
果実のほうも、カゴが外にあると、
早く熟そうとする……ここは、果実と脳とは違う。
いや、果実の栽培だって、熟成促進をするための
いろいろのテクニックがあるはず。
手帳は、脳での思考を熟成させる促進グッズ。

それを使わない人が少なくない。
先日のパルマローザのファッションショーでも、
女性のバッグにも、A4サイズのノートが入る余地がほしい、
バッグには脳の支店を入れることも忘れずに、とコメントした。

女性が、手帳にメモをとっている姿は美しい。
それは、脳内の果実をとり出している、
収穫の姿だからなのかもしれない。
茶摘みや綿摘みをする女性も美しいが、
脳の果実の収穫姿は、さらに美しい。
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さて今年は、長年使ってきたA社の手帳を
B社のものに変えた。
末尾に、日本の路線地図が入っていたからである。
これだけのことでも、2009年のフットワークが
アップするはずである。
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# by rocky-road | 2008-10-12 01:21  

日記、つけてますか。

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30年来の知人、島崎とみ子氏(女子栄養大学準教授)は、
調理科学や食文化を専門とするが、
同時に江戸時代の料理や江戸の食関係の書物などの研究家でもある。
以前から手がけおられた「幕末京都町人のくらしと食」の一部を
『国文学 解釈と鑑賞』という雑誌の別冊、
 『文学に描かれた 日本の「食」のすがた』
(2008年10月1日発行 至文堂・しぶんどう)の中に発表された。
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京都の呉服商人 水口屋清兵衛(本姓 八木清兵衛)と、
その先代とが、天保9年から明治9年までの38年間
書き続けた日記のかなりの部分が、
個人によって所蔵されているという。
それを島崎先生が研究対象としているのだが、
もちろん、食生活を中心に、清兵衛の余暇活動などを追っている。
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日記には、日々の食事、行事の食事などが細かく記録してある。
たとえば、「安政4年9月15日 日和 折々雨ふり」の日の昼食は、

  棒鱈  太平皿  はも  柿
  せんまい  ゆりね 
  玉甚殿より 鱧ずし少々
  カステイラ持参被相成り

といったぐあいである。
「野菜が足りない」なんて、ここでは野暮はいわず、
38歳の家長が、使用人、近所つき合い、日々の食事のメニューなどに
いかに細かく気を配っていたかに着目したい。
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『日本の「食」のすがた』には、ほかにも興味ある記事が
たくさん載っている。
なかでも、「座談会 食と文学」は、
栄養士などが食の話を活性化するのに役立つネタの宝庫である。
平安時代、すでに自然は少し遠くになってきた、
そこで屏風絵や庭、和菓子などへと「縮小され、芸術化され、
記号化されて、四季の文化が生み出された」という。
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食事相談にそんな蘊蓄(うんちく)は必要ないだろうが、
食のバックグランドをこのくらいのスケールで見たいし、
語ってみたい。
「バナナダイエットって、効果あるんですか」
なんていう質問に即答しないで、
「バナナの産地の人、台湾人やフィリピン人は
どんなダイエットをしているのかしら?」なんて、
少しフェイントをかけてみる余裕と視野がほしくなる。
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# by rocky-road | 2008-10-07 22:47