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テーマは手間がかかる!!

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このところ、わがロッコム文章・編集塾では、
塾生の「テーマ意識」を刺激することにウエートをかけている。

以前、ある映画を観てきたという人に「どんな映画だった?」と聞いたら、
汗をびっしょりかかれ、「いまはまだ整理ができていないから」と、
説明を来月まで先送りにされたことがある。
テーマどころか、映画のストーリーを数分で説明できない人もいるのだと知って、
驚きもし、感動もした。

テーマとは、映画なり小説なり、音楽なりで、
作者が主に訴えたい感性、考え方、思想などをいう。
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20年間続け、後輩に任せた「水中映像フェスティバル」は、
年に1回、自作の水中写真を音楽やナレーション入りで発表するイベントである。
当初は、自分の水中体験をただ見せればよかったが、
すぐに類型化してきて、鑑賞者を飽きさせる。
そこで、テーマ、つまり何をいいたいのか、なにか新しい提案なり視点なりがあるの
か、ということを問い始めた。

こういうことを嫌う人も少なくない。
「理屈っぽいことをいわずに、単純に楽しめばいいじゃないか」と。
それはそうなのだが、多くの人に観に来てもらって、なんらかの情報を提供しようと
思ったら、「右に同じ」では困る。違いを訴えてほしい。
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そういう欲求はプロ的だと考える人もいるが、それはまったく違う。
プロだから、アマだからと、段差をつけるのは、アマを甘やかすだけで、
だれにとっても、何のプラスにはならない。
アマチュアは、時間や労力、人によっては金をいくらでもかけられる、
そこにアマの贅沢(ぜいたく)がある。が、贅沢だけを繰り返していると、
ただの浪費家で人生を終わる。そこで、多くの人は目的を設定する。

塾生に求めているのは、日々の暮らしの中に
自分の視点、自分のポジションを見つけることである。
それはプロへと転身するためのハードルの1つになるし、
プロ・アマとは関係なく、日々を活性化することでもある。
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テーマとは、自分の仕事、自分の生き方を支えるモチベーションであり、
エネルギーでもある。俗に言えば「自分の売り」である。

テーマの追求は、生きている限り続く。
1つをテーマ化すると次のテーマが生まれる。エンドレスである。
管理栄養士の資格を取った、料理教室を開設した、海外留学を経験した……
それは次のテーマを求めるためのスタートでしかない。
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モチベーションとストレスは、背と腹の関係にある。
ストレスを緩和するためにアクションを起こす、それがモチベーションとなり、
その分だけ、人を強くする。

テーマの勉強は、文章力を強化するため、といった卑近な目的にとどまるものではない。
人生を強化し、人生を楽しむためのスキル以外の何ものでもない。
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by rocky-road | 2010-06-30 23:53  

?!なんで・なんで・なんで、どうして・どうして・どうして?!

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愛用する食器類の窯元が毎年開く新作展に招かれて行ってきた。
題して「○○恵以子 欧州アートデビュー展」
(会場は撮影禁止。紹介の写真は手持ちのもの)

案内状から推測して、新作をたっぷり鑑賞できるのかと思っていたが、
前衛的な作品(前衛書道を思わせる)はわずかで、
大半は昔の柄の復刻や、すでにある食器のバリエーションばかりで、
手持ちとして増やしたい食器はゼロだった。
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食器は、絵柄が先にあるのではなく、まず用途、そして使い勝手。
が、この新作展では、絵柄の変化に目線が行っていて、
生活器としての新しい提案がほとんど感じられなかった。
デミタスカップに復刻柄、それが7万円!!!???
まったく用途が思い浮かばない。

冷蔵庫と電子レンジの間を往復できるような器……とまではいわないが、
やや小振りのスープ容器の提案だとか、
刺身にもカレーライスにも兼用できそうな皿だとかをまず発案し
(すでに私的にそうしている食器はある)、
それからデザインということになるのだと思うが、
そういう模索の跡がまったく感じられなかった。
人ごとながら、伝統の絵柄の類型から抜け出せないこの窯元の将来が心配になった。
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自分の提案ばかりで、ニーズや時代を見失っているこの窯元の姿勢を
顕著に表わしているのが、会場に待機しているスタッフたちの対応だった。

やたらと説明したがる。
こちらが何者か、この展示会に来るのは何回目なのか、
弊社の製品をお持ちかどうか、おめがねに適った(かなった)ものはあったか、
お感じになったことがあれば伺いたい……といった問いかけはゼロ。
こちらがすでに持っている器についてまで説明を始める。
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「栄養指導」に明け暮れしている栄養士は安心してよい。
100年を超える伝統のある窯元してこの程度なのである。
こんなに一方的コミュニケーションでも100年は生きられる(かな?)。

自分の商品を相手かまわずアピールすることが仕事だと思っている。
幸か不幸か、ベテランらしき男性がガイドをしてくれだが、
まったくこちらへの問いかけはなかった。
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その密集するコトバの羅列をかいくぐって「今年のコンセプトは?」
「復刻柄への傾斜は、後ろ向きを意味しないのか」と発したこちらの問いかけにも、
満足すべき答えが返ってこなかった。
「説明じょうず」に自信過剰になる者は、問いかけられることに弱いのか……、
そんな研究ヒントを与えてくれるほど説明は一方的だった。

栄養指導が好きな栄養士もまた、相手からの問いかけを防ぐために、
一方的に相手を攻め続けるのかもしれない。 
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やさしい問いかけ、厳しい問いかけ、考えさせる問いかけ……
それに対する適切な回答、
これがセットとなったとき、人も社会も知恵を深められる。
そして、1人になったときは自問自答を深める。

1人になると反射的にケイタイやパソコンをいじりだすデジタル病の人には
自問自答の時間も、そこに向かう発想もない。
その状態こそ、病気の症状なのである。
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なるほど、
「説明や意見は消極的、問いかけは積極的」と説く
アクションラーニング(人材開発の学習プログラム)は見事。
これにつけ加えるならば、
問いかけは「創造的でもあり、進化の原点」かもしれない。

なぜ鳥は空を飛ぶのだろう? 
なぜ食べ過ぎが起こるのだろう?
なぜ老舗は伝統から抜け出せなくなるのだろう?
なぜ陶器屋さんでの体験を健康支援者に伝えたいと思うのだろう?
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by rocky-road | 2010-06-26 22:12  

テンで話にならない。

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近く結婚する人から、結婚披露宴へのご招待状の表記法について尋ねられた。
きわめて基本的なことで、ご案内書状の文章に
「句読点を打つべきかどうか」ということである。
以前、このブログで、
喪中を知らせるハガキの文章から句読点が消えた、という話を書いた。
それを読んだのだが、では披露宴の案内状はどうするか、という問題である。

答えは簡単で、日本の正書法では、ほとんどの場合、句読点は打つ。
例外は固有名詞、新聞や雑誌のタイトル、小見出し、慣用的な語句、詩歌などである。
それでも、「モーニング娘。」「句読点、記号・符合活用辞典。」のように
固有名詞や書名に句読点を打つ場合も珍しくなくなった。句読点を打つ俳句もあると聞く。
句読点の打ち方のルールのことを「句読法」という。
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しかし、民間の案内状などでは、〝一部〟に句読点を使わない習慣がある。
いや、一部だったものが、いつのまにか、主流になった。
なぜなのか。

明治以降、国語教育は、文学、名文主義で、
著名な著述家の文章を鑑賞することが勉強の中心だった。
ここから「文才」という無意味なコトバが生まれた。
国語教育は、国民としての心を教える側面もあるから、
文学、名文主義は日本に限ったことではない。
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一方、のちに「実用文」と呼ばれる諸案内状などは、
街の印刷屋さんに任されることになった。
名文中心の教育では当然そうなるが、
実用文や仕事文は、やや格の低いもの、として扱われるようになった。

結果として、街の印刷屋さんが、案内状の形式や表記の主導権をとるようになる。
ここから日本特有の「前例主義」「無難主義」が一人歩きするようになる。
知ったかぶりの知識を振り回し、
「句読点は教養のない人が打った」「途中で切れたり止まったりするのは縁起が悪い」
などという俗説が伝承されるようになる。
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いまはその知識が結婚式場に受け継がれ、ますますもっともらしい言いようになった。
新婚さんが「文章・編集塾で、句読点は打ったほうがいいと学んだ」と提案でもしようものなら、
専門家ぶった式場担当者から「前例がありません」「こういうのは縁起物ですから」と
釘をさされて、ビビってしまうのはやむを得ない。

ここにも最近目に余る、三流レストランのシェフやウエーターと同じ「しゃしゃり出」が見られる。
個人が書く文章の表記法にまで口を出すとは、どういう了見だ。何が言論の自由か。
かの進駐軍でさえ、私文書の開封、検閲まではしたが、
書き直しまでは命令しなかったのである。
それがいまは、新婚さんの文章を、文章に素人の結婚式場が添削するのである。
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ではどう対処すべきか。
「無難」が好きな日本人なら、迷わず「郷に入れば郷に従え」、
長いのものには巻かれるのがよろしい。

国語のあり方を考え、自分の教養と見識を信ずる人は、
式場側に宣言すればよい。
「これは表現の自由であり、国語の正当性を守る戦いである。
お主がどうしても拙者の文章を直すというのであれば、
この際、決闘をもって決着をばつけたい。
本日午後6時、すりこぎ棒を持って中庭に
おいでいただけまいか」と。
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そう、国語の尊厳を守るには命をかけるのは当然である。
親戚縁者から四の五のいわれても、
君にはデンと構えている根性があるか。
君は、草食系で生きていくのか、それとも……。
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by rocky-road | 2010-06-18 00:15  

わが、ハッピーバースデー

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6月5日の誕生日を多くの方々に祝っていただいた。
リーダーシップゼミナールの前日というタイミングであったため、
このゼミに参加する方たちが各地から横浜入りしており、
このタイミングでバースデーパーティーを設定していただくとは、
第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦も顔負けの絶妙な作戦である。
連合軍総司令官、アイゼンハワー・なお子元帥に対したてまつり
感謝と、その作戦力に直立不動の最敬礼をせねばならない。
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5日には横浜元町のレストランで、16人の方々に祝っていただき、
翌6日には、リーダーシップゼミに出席した25人の方々に
メッセージカードをいただいたりした。
このほかにも、多くの方々にメッセージや写真を送っていただいた。
まずは、この場でお礼を申しあげたい。
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なかには、22年前にNHKテレビの「遊々専科」に出演したときの録画を
CDにダビングして送ってくださった方もおられる。
お陰で、52歳の自分に対面し、「がんばらねば」と改めて誓うことにもなった。
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たかが70代で、元気の秘訣を語る資格はないし、
そもそも「長生きの秘訣」「健康の秘訣」という設定は俗っぽく、
あまり使いたくないフレーズである。
「秘訣」というと、あたかも1、2の方法があるように思うが、
長生きや健康は総合的要因によってもたらされるものだから、
こういう問いかけや回答をしてはいけない。
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このブログを目にした方は、「長生きの秘訣」「健康の秘訣」などという
低俗なコトバを生涯使わないほうがよいと思う。
自分についていえば、毎年、こうして祝っていただける環境にいることは、
心の健康増進におおいに役立っていることは疑う余地がない。
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ところで、5日の宴席で、おもしろい社会現象に気がついた。
みなさんに祝辞をいただいている最中に、
レストランのウエーターが「お料理の説明をさせてほしい」と割って入ってくるのである。
会の流れを遮ってまで、料理の説明をする緊急性があるのか。
料理講習会ではないのだ、なんで料理が主役になろうとするのか。
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この現象をこう解釈した。
会食会が増えて、厨房の人やサービス側が、不遜にもしゃしゃり出てきたのである。
昔から、女性客が増えると老舗や高級店は堕落するといわれてきた。
修行中の新米板前までが、華やいだ女性のウケを狙って、
落ち着かなくなるからである。
目が手元ではなく、客の顔に向くようになる、口数が多くなる、
偉そうな口をきくようになる……。
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客は客で、「食材はどこどこの旬のもの」という程度の説明に
「わぁ、すごい!!!」なんて歓声をあげる。(なにがスゴイのか!!)
これの連続で、いい気になってしまうのである。
たいした情報もないくせに偉そうな物言いをするシェフ、板前、料理講師を見かけたら、
そこはミーちゃんハーちゃんの多い店と思って10中8、9、間違いない。
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こういう俗化を目の当たりできたことも、
バースデーパーティを開いていただいたお陰の収穫である。
いうまでもないが、これは、パーティを設定した人の責任ではない。
俗化のペースがあまりにも早いということの結果でしかない。
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しかし、ここから学習することはある。
パーティ、楽しい懇談を中心とする会食のときは、
出しゃばりすぎない店を選ぶか、「出しゃばったら殺すぞ!」と念を押しておくことである。
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祝ってくださった方々、ありがとうございます。
感謝をこめて、申しあげます。
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by rocky-road | 2010-06-09 22:20