生き物から食品へ

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珍しく、魚屋にタカベが出ていた。
日本列島の太平洋側では、夏から秋にかけて、
どこの海でも見られる魚だが、
漁獲量が少ないせいか、最近、東京ではあまり見かけない。

海の中で見ると、背から尾にかけて黄色いスジが走っていて
観賞魚といいたいほど美しい。
海の中をタカベが泳ぐのを見て「おいしそう!」と
叫んだ女性がいる。1度ならず2度までも。
偶然か必然か、2人ともミセスであった。

生きている魚を食品と見る、そのオバサン感覚が許せない。
「動物園でウシを見ておいしそういうのか!!」と、
憤然と詰問した。
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日本列島では、生物としての魚が、
食品となる瞬間が日常風景として見られる。
すし屋でいきなり手振りの鐘が鳴り出して、
「いま、アジをおろしています。ご注文をどうぞ!」
と、板さんが叫ぶ。
水槽に泳いでいる魚をとり出して、
その場で調理をする。

が、半分生きている魚をうまいと思うのは、
自分の舌に忠実でない人の言である。
本当のうまさを知っているのかね?
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石毛直道氏は、英語の「cook」というコトバは
火熱(ママ)を含むので、日本料理を代表する刺身は、
cookのカテゴリーに含まれない、
と不満げに書いている(『食卓文明論』中公叢書)。

刺身のうま味を知っている日本人は、
まだ身が生きていて、コリコリした歯ごたえのものを
「うまい」なんぞと、それをいっちゃぁ、おしまいよ。

生き物が食品に変わる瞬間を見ないのが
人間の品格であり、食物連鎖の一端を担う
生物たちへの思いやりである。
ウシやブタが食品に変わる瞬間を
見たいという人は少なかろう。

遊びとしての魚のつかみ獲り、
活き作り、躍り食い、ハンティング……、
そういうことは密室でやってほしいと思うのだが、
いかがなものだろう。

1.写真はタカサゴというサンゴ礁の魚。
  タカベはデジタル化していないためご紹介できず、失礼。
2.撮影中の大橋
3.ミナミイスズミとスノーケラー
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by rocky-road | 2008-08-17 09:10  

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