リアリティのあるトレーニングを。

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読売新聞の人生案内は、
質問内容も、それへの回答内容も、
食事相談や健康相談を行なう健康支援者にとっても、
大いに参考になる。

 *太った妻をやせさせたいと思い続けて30年という夫、
 *高齢になって年賀状書きはもう限界という男性、
 *夫の死を願ってしまう50代の主婦、
 *人前で話すのが苦手という30代の女性社員
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などなど、当塾や各地でのセミナーでは、
しばしば宿題として取り上げ、受講者の回答を求めている。
「人前で話すのが苦手」については、
3月6日の、
コミュニケーション研究会 ひろしま≫の
セミナーで、みなさんに発表していただいた。
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第三者の質疑応答に対して、
あとから別の回答をするのは、
いわば「あと出しジャンケン」だから、
ずいぶん有利であるはずだが、
健康支援者は、概して
まばゆいばかりの純粋性を持っているので、
回答は、新聞紙上以上に美しくなりがち。
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「妻の肥満を気にする夫」に対しては、
「よく話し合って」「いっしょにウォーキングをしては?」
となりがちであり、
「人前で話すのが苦手の女性」に対しては、
「人前で話す機会をつくればよい」や
「親しい人と思って話せば緊張しない」であったり。
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30年も干渉し続けた夫の評論家的態度を
イメージしないから、
「いっしょにウォーキングをしたら」などと
能天気な回答になってしまう。
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アカの他人の前で話すのを苦手とする人に、
「親しい人と思え」というのはムリ。
思うだけで解決するのなら、
「自分は世界一の大金持ち」
「世界一の幸せ者」の1フレーズで、
地球上に争い事はなくなるだろう。
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ロッコム文章・編集塾の塾生に限らず、
日本人は「心得論」を好む傾向がある。
「こう考えればなんとかなる」と。

たとえば、天災。
「忘れたころにやってくるから」と、
メディアは記念日的にいっせいに放送をし、
忘れることを抑止する。
しかし、毎年、同じ日時に
注意を喚起しているうちに、
それが慢性化して、むしろ耐性ができてしまう。
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こんな場合、行動科学的に考えれば、
避難訓練以上の対策はない。
防波堤を作ったり、陸地を高くしたりと、
同じ場所に同じ津波が来る、という想定は、
発想自体にも問題がある。

各地に活断層が走っている日本のこと、
ハザードマップを作ることは不可欠だとしても、
それに基づいた避難訓練をしなければ、
非難想定地図も「情報の宝」の持ち腐れである。
訓練にしろトレーニングにしろ、
そこにはリーダーが不可欠。
しかし、リーダーは現実には不在。
そこで、メディアが疑似リーダー努めることになる。
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小学生低学年時代、
空から落ちてくるB29投下の焼夷弾(しょういだん)を
見つけ次第、火が本格的に噴き出す前に
「防火用水」(家々の外壁に沿って作った水槽)に
火の出る頭から漬ければ火は消せる、
という実習を校庭で受けた。
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以来、空襲があるたびに、
落下直後の焼夷弾と遭遇することを期待したものである。
トレーニングというのは、困ったもの。
焼夷弾の落下を嫌うのではなく、
「さあ来い」という反応が起こる。
小学2年生の、一種の条件反射である。
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行動科学は、
心得だけでは実際行動は導き出せないことを教えている。
人前で話すのが苦手なら、
ペットの前で10回、
動画収録用カメラの前で10回、
家族の前で20回、
友人の前で50回くらいの
トークトレーニングによって、
緊張感への耐性をつくっていくのが基本であり、
それを避けていては、
克服は時間がかかるばかりである。
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「忘れない」「語り継ぐ」と
100回コメントすることよりも、
1回のトレーニングのほうが実効性は高い。
しかし、リーダー不在の社会では、
災害経験地域以外では、
トレーニングの実施はまず期待できない。
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「机上のプラン好き」型の現在の日本では、
まずは、
片っ端から災害対策マニュアルを作ることから
始めるのも一法である。
ひょっとして、出版不況対策の1つにはなるだろう。
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寝たきりの人の避難訓練マニュアル、
子どもや年寄りの避難訓練マニュアル、
ペットや飼育動物の避難訓練マニュアル、
家族の避難訓練マニュアル、
幼稚園児・小学校生の避難訓練マニュアル、
地域の違う恋人との避難後再会マニュアルなど。
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ロッコム文章・編集塾は、
キャリア不足のため、
ここには参入できず、
論理的思考とコミュニケーションスキルアップへの
ささやかな貢献を続けるのが現状である。
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by rocky-road | 2016-03-14 20:55  

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