あなたは魔女を見たこと、ありますか。(その2)

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間があいたが、前回書いた
「給食だより、広報メディアを10倍
楽しくする スキルアップセミナー」3回目、
『情報は身近なところに――取材力のつけ方』
(7月29日)の続きを書いてみよう。
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「ピンク色の魔女人形を観察し、
それを小学生くらいの子を持つ母親に文章で説明する」
という課題である。
その場で発表していただいた、受講者の文章を3つ、
ご紹介しよう。
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その1
「それは、ほうきにまたがった魔女のお人形です。
大きさはちょうど生まれてひと月の子くらいでしょうか。
 魔女といっても、こわーい魔女ではなく、
まるで少女のような愛らしい表情をうかべています。
(表情は浮かべない。「表情をしている」か)

 まずピンクの色が目にとびこんできます。
ピンクのふわふわの綿のような髪が花のようにふくらみ、
ちょうどおしべのように、丸いビーズが5つかざられています。
 ピンクの大きな水玉のドレスに、肩からポプリの香り袋をつけ、
ピンクのボーダーのソックスをはいた、
細く長い脚には(は)ピンクのリボンがついたまっ赤な靴をはいています。
またいだほうきには、ハーブを生やしたバケツをかけ、
『さあ元気になりましょう♡』と魔法をかけてくれるようです。
 ヨーロッパでは、キッチンにかざり、大きな事故が
おこらないように守ってくれるキッチンウィッチといわれるもので、
天井から吊るすように、白い糸がついています。
まるで空を飛んでいるかのようです」 (加納陽子さん) 

課題のとおり詳細に説明している。
が、小学生の母親が求める情報を想定して、
興味を引くような情報にまではしていない。
「少女のような」「綿のような」「花のように」
「おしべのように」など、直喩(ちょくゆ)表現が多い。
詩的表現を意識したのかもしれない。
用途についての説明があって、
人形の存在意義を伝えている。


その2
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「魔女の宅急便というアニメーション、知っている?
黒ねこと、女の子がほうきにのって、空を飛んで
荷物をはこぶ話があるよね。魔女のお洋服、今日、見た子は、
全身がピンク色の、かわいいお洋服をきていたよ。
髪の色もピンク、ほうきの色もピンクでキラキラしている。
みどりのお花ももっている。なんだか楽しい世界に一緒に
飛んでいくみたいだね。
 赤いくつ、ピンクのしまのくつ下、ピンクのかみの毛が
奇抜ですね。ほうきに腰かけて飛んでいる姿は、
ちょっと異常かも」(楠崎聡子さん)

母親に向けての文章というよりも、
子どもに向けて書いているように読める。
「給食だより」などにも、子ども向けの記事なのか、
保護者向けの記事なのか、書いているうちに
あいまいになっている文体のものが多い。
 

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その3
「魔女って知ってる? しらゆき姫にでてくる魔女は
黒っぽい服を着たこわ~いおばさんだけど、
今日見た魔女は違うんだよ、髪はピンクにそめていて
化粧もしているの、目にはマスカラ、こ~んな風に
チークをつけて口紅もつけているの、服はピンクの水玉模様、
靴もピンクのリボンのついた赤い靴をはき、
ピンクのホウキにのっていてとってもおしゃれ、
そして何とハーブももっていてとてもいいにおいがするの 
この魔女はキッチンを守る神様なんだって、
やっぱりキッチンを守る人は明るくおしゃれで
いないとね ママが服や化粧品をよく買うのは
キッチンをしっかり守るためでもあるんだよ、必要経費よね」
(近藤むつみさん)
これも子ども向けの記事として書いている。
課題を見落としたか。
しかし、キッチンを守るママのおしゃれの意味にまで
話題を広げていて、読み手の共感を呼ぶように仕上げられている。
いわゆるオチである。
これによって、素描(デッサン)から記事にまで昇華されている。
句点「。」は使わず、すべて読点「、」で綴っている。
 

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その4
「きょう、横浜で受けたセミナーの演習で、
ピンクの魔女を見て説明せよ、という課題がありました。
ご存じのように、魔女はヨーロッパでは薬草を煎じたり、
お産婆さんのルーツだったりしましたが、いつからか
人に呪いをかけたり、悪魔と交流する、怪しい人として
位置づけられるようになりました。魔女狩りなどという
恐ろしい人権侵害もありました。
しかし、現代は、魔女を物知りでチャーミングな人と
思う人も多くなったようです。
日本では、たとえば横浜の元町に魔女グッズのお店があって、
けっこう繁盛しているようです。
きょう、課題として提示された魔女も、
そこのお店で購入したものらしく、髪の毛から靴の先まで、
そして、またがっているホウキまで、ピンクづくめの魔女でした。
現代の薬局の薬剤師さんも最近はピンクのユニフォームを
着ているように、伝説上の薬剤師さんも、
真っ黒からピンクのユニフォームにモデルチェンジしたのでしょう」
(大橋禄郎)

スケッチであることよりも記事としての内容を選んだ。
説明であれ記事であれ(記事も説明だが)、
相手の興味を引くことが先決。
取材は、情報発信のための材料集めだが、
それは情報の受け手を想定したものでなければならない。
この文例では、ピンク魔女について、
さほどくわしくは説明していない。
児童の母親にとって、
ピンク魔女のコスチュームの細部まで必要かどうか、
そのあたりの判断で説明内容が変わってくる。

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演習をした人は、そういうことなら最初にいっておいて、
と感じる人があるかもしれないが、
説明は相手に合ったものを、ということを実体験して
いただくのがこの演習であった。
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次回は、新聞や掲示などの紙面を
魅力的に見せるデザインについて勉強していただく予定。
(開催日:8月26日 開催会場:神奈川労働プラザ特別会議室
開催時刻:10時30分~午後5時)

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ところで、先日、はからずもこんな取材をすることになった。
都内の公園の池で釣りをしている人の前の杭に
カメが裏返しのまま置かれ、もがいている。
平地ならば頭をテコにして起きあがれるが、
甲羅より小さい円形の杭なので、頭が使えない。

つり人に声をかけて、わけを聞いた。その人の答えは、
「釣りをしているとすぐに餌にかかってしまう。
何回逃がしても、また戻ってくる。しかたがないので、
こうしておいて、何度も釣り糸にかからないようにしているんだ」
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それを聞くと「逃がしてやりましょうよ」とは言いにくい。
釣を公認している池である。
動物愛護の観点から、どう対処すればよいのか。
カメを正位置に置けば、すぐに池に戻る、
そしてまた釣られてやってくる。口にケガをするだろう。
管理事務所に申し出れば駆除される可能性がある。

ここは判断に困って、黙認してそこから離れた。
釣り人は「これは外来種なんだよね」と。
弁解なのかもしれない。
が、彼が自らそのカメを駆除しないことをよしとした。

この記事は、ここまでである。
ここからいろいろの話ができるが、
あえで未加工のまま、ご提示しておこう。

by rocky-road | 2012-08-11 00:39  

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