母校に錦を飾る。

母校に錦を飾る。_b0141773_0445664.jpg

以前(女子栄養大学出版部退職後)、
母校の高校から、
「卒業生が社会人として
活躍している状況を話してほしい」
といわれて出かけていったことがある。
保護者も参加するというので、
「予暇」について話したと思う。

が、初めからザワついていて、
話に集中する様子がない。
これはムリだと思ったので、
こういう話から始めた。
「若者に未来があるというが、
それは正しくはない。
努力しない者には未来などない。
未来があるのは、努力した者と、運のよい者だけだ」
そういったら、シーンとなった。
母校に錦を飾る。_b0141773_0454678.jpg

講義内容は覚えていないが、
この部分だけは覚えている。
以後、母校の大学で
非常勤講師を約10年、
前職の大学でも
非常勤講師を続けているが、
これといった
エポックメーキング的な認識もなく
今日に至っている。

東京人が東京で働く場合、
「故郷に錦を飾る」という認識は生まれようもなく、
あえていえば
「母校に錦を飾る」というところだろうが、
個人の歴史は、
時代の流れ以上に連続的で、
まさしく「行く川の流れ」のように
メリハリがないものである。

しかし、
人が似たような経験をするのを見ていると、
それは充分に劇的に思える。

先日、影山なお子さんが、
最初の大学である
日本女子大学の卒業生組織の招きで
講演をするというのでついて行って、
聴講してきた。

いきなり「食コーチング」の話をするのも
素っ気ないということなのか、
なぜこの大学を選んだのか、
そして、社会人になったあと、
女子栄養大学に社会人入学したいきさつを話した。
母校に錦を飾る。_b0141773_048092.jpg

在学生も来ていたので、
彼女たちにも刺激を与えたことだろう。

日本女子大の場合は平塚らいてふ、
女子栄養大の場合は香川 綾という
日本において女性の社会進出を促した人が、
影山さんの動機になっていたという。

それは、食コーチングで
栄養士のコミュニケーション力を
強化する仕事につながるのかもしれない。

そしていま、
2つめの大学で非常勤講師をしている、
影山さんも母校に錦を飾っていることになるが、
ご本人にはその意識はない。
だから、歴史家(だれが?!)として、
この事実を記録しておくことにした。
母校に錦を飾る。_b0141773_050816.jpg

さて、一般論として、
大学というところは、
非常勤講師なくしては成り立ちにくい。
経済的理由というよりも、
情報の多様性という点において。
実際、常勤教員の数倍の非常勤が
大学を支えている。
生きている社会で仕事をしている者から見ると、
大学は多分に無風地帯。

ここに現場の知識や
技術を送り込む役割を非常勤が担っている。

問題なのは、
多くの非常勤を配置するだけでは、
その大学らしさが出にくい点。
経営陣が、常勤・非常勤講師に対して、
その大学のコンセプトを頻繁に伝えないと、
衰退が続く百貨店の後に続くことになりかねない。
母校に錦を飾る。_b0141773_0505615.jpg

そして、あなたへのアドバイス。
現役で働いている人に
常勤講師や准教授、
教授の話があったときには、
できれば非常勤でかかわることを奨めたい、
教育が三度のメシより好きという人は別として。

そのほうが、
多様な人生が楽しめる。
などというと、
現役の常勤教員からブーイングが出るかもしれない。
いやいや、
大学勤務だけで日々を送っている
怠慢な人間は大学教員にはいないから心配ない。
それぞれライフワークを持ち、
教育の仕事と、
自分の仕事とを楽しんでいることは疑いない。

by rocky-road | 2010-12-23 00:51  

<< 草食系男子へのメッセージ ダイビングは何のため? 健康は... >>