しあわせ色は何色?

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年に2~3回、大学の2部(夜間)の講義を受け持っている。
午後8時10分前が始業。
外はしんしんと冷えるが、教室内は暖房が十二分で、
上着を着ていては暑いくらい。
なのに、ダウンのジャケットを着たまま受講する学生が何人かいる。
その3人とも、なぜか最後列の席についている。

講義に集中する表情はなく、どこか、うつろ。
「暑くないの?」と聞くと無表情に首を振る。
寒暖の感じ方は個人の自由だから、それ以上の干渉はやめた。
が、なぜか森 昌子が歌う、荒木 とよひさ作詞のあの曲が浮かんだ。
「♪ あなた泣いてくれますか 寒い こころ 寒い 悲しみ本線日本海 ♪」
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そうだ、心が寒いのだ。最後列にいると、講義への集中力が散漫になり、
からたの活性度が低くなる。まさしく心が寒い状態である。
ふと気がつけば、彼らのウエアは、なぜか国防色……失礼、オリーブ色である。
戦時中だったら国民服だから、ここは大いに志気があがっただろうが、
いまは平時。こんなけだるい時代にオリーブ色はいけない。
色彩心理学の問題というよりも、あまりにも同系色で類型が多すぎる。
つまり環境に埋没する色として働くということなのだろう。

交差点で信号待ちをしているとき、対岸の人たちの服装を見ていると、
なんと暗い色が多いのだろう、と思う。昔は、フランス人がシックだといって、
地味な色に憧れた日本人も多かったが、いま見ると、
それもまた、一種の「ドブネズミ色」ではないかと思う。
その心理は、「みんなと同じに」、言い換えれば「目立たないように」ということ。
教室で、うしろのほうに席を取る学生の心理と、そうは変わらない。
ベージュ、オリーブ、グレー、茶などは、現在の日本では埋没色として働くことが多い。
これらの色を好む人にとっては、大きなお世話だが、
生物的な適応力を強化する気なら、どこかに強い色のアクセントをおいたほうが、
社会進出を考える人にとっては有利ではないか。
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たとえばパルマローザの栄養士さんたちの中には、
着ることに関心を高めている人が多いと聞くが、
これは単なる流行やおしゃれ感覚の問題ではない。
衣服は、個人がもっとも関与できる環境であり、
その環境は、他者にメッセージを発信する前に、
自分自身に強いメッセージを発信する。
気に入った服を見つける、選ぶ、購入する……
そうした一連のアクションが自分の環境をつくっていく。
衣服に気をつかうようになったら、
家族や同僚、上役とのコミュニケーションがよくなった、という人が多いが、
それは、こちらのメッセージが相手に伝わったということはもちろん、
それ以前に、自分の内的環境がよくなったからである。

映画『マイフェアレディ』の中のオードリー・ヘップバーンのように、
知らず知らずのうちに、プライドや品格のある人間として
ふるまうようになっていくからである。
家庭や職場の中には社会がある、
とすれば、栄養士の社会進出は、
こんなところからも始まっている、と見ていいだろう。

by rocky-road | 2009-01-25 23:15  

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